ベルギーの名匠ダンヌルク兄弟(ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)による社会派ドラマ。
アフリカからベルギーに流れ着いた偽りの姉弟のトリとロキタ。
姉のロキタはビザがもらえず、正式な職に付けないため悪の犯罪に手を染めざるを得ません。
ふたりは互いに手を取り合い、励まし合いながら賢明に生きていくストーリー。
ロキタは故郷の家族に仕送りをしなくてはいけないのですが、ビザがなかなか降りず働くことができない。
貯めたお金を故郷の母に送金しようとしていたロキタは密航を斡旋した仲介業者に脅され、金を奪われてしまうというやるせなさ。
送金できなくなったことを電話で母に告げると、自分のために金を使ったのだろうと疑われ、ロキタは落ち込みます…何とも言えないシーンです。
ビザが取得できれば家政婦になってトリと一緒に暮らしたいと願うロキタでしたが、面接で質問に応えられず、取得は難しくなってしまう。
これ以上はネタバレになるので、ぜひ鑑賞してください。
ダルデンヌ兄弟の映画は、いつも心が痛くなる。
古い順から、ロゼッタ、ある子ども、ロルナの祈り、少年と自転車があります。
この移民の受難の物語はベルギーが舞台だが、これは日本を舞台にしても成り立つ話だと感じる。
外国人技能実習生とかね。
富める者が貧しい者を搾取するこの社会構造がなくならない限り、トリとロキタのような悲劇は永遠に無くならないのだろうと切に感じます。