独立前に私が勤めていた医院の話。
ある看護師が、勝手に医院の庭にプランターを持ってきてトマトの栽培を始めました。
誰の許可もなく、勝手にプランターを持ってきたもんだから、スタッフからブーイングの嵐でした。
普通に考えて、私物を勝手に持ってきて、場所を取るプランターを置いて勝手に野菜を栽培し始めたら迷惑はなはだしいこと。
プランターを置いた直後はみんなが口を揃えて「早く持って帰れ」と文句を言いました。
でも、これが面白いことにプランターでのトマト栽培が始まって、芽吹く頃にはみんなトマトに関心を寄せ始めました。
「もって帰れ!」の大合唱だったにも関わらず、みんながトマトの様子を気にするようになって水やりなどもし始めました。
そして、収穫のタイミングになったらみんなで、そのトマトを楽しく分け合って、美味しく食べたようです※私は退職してしまったので人づてで聞きました
その医院は、いまはもう無いのですが、興味深い話を思い出しました。
まさに、パリのエッフェル塔の逸話「単純接触効果のパワー」ですね。
パリのエッフェル塔は今ではパリの象徴であり、パリ市民の誇りのような存在ですが、実は、建立直後は市民から大ブーイングだったそうです。
このトマトのプランターと一緒で最初は排除したいという動きが強かったんです。
ですが、市民が毎日エッフェル塔に触れるうちにだんだんと許容されてきて、最終的に「誇り」にまでになったんですね。
何度も何度も見るうちに触れるうちに、エッフェル塔への高感度が上がっていったという話です。
人間関係も一緒かもしれません。
単純接触効果が働きます。
会ったり、連絡を取る頻度が高ければ、その人への好意は高まります。
逆に、会いもせず、連絡も取らない状態が続けば、関係性は薄れていきます。
コミュニケーションって大事ですね。
休眠している方に定期的にお便りを出すようになったきっかけの話でした。