全編を通して…とにかく泣けた。
無農薬のリンゴを作るのにとことんにこだわって失敗を繰り返し、財産を擲ってもなお粘る。
父親として、夫として、そしてリンゴ農園の後継者としての意地。
全てを全力で注ぐ、この主人公の頑張りがストーリーを引き立てて、観ている人に奇跡の涙を流させる。
愛する妻のために無農薬でリンゴを作ろうとする木村。
そのことを義父に伝えると、意外にもあっさり承諾する義父。
本当は義父も、娘が農薬に弱く体調を崩してしまうことに、心を痛めていたのだろう。
だから、それを「息子」に託した。
何度も栽培に失敗し、「かまどけし（浪費家という意味）」と周囲に呆れられても、娘と孫と一緒に、彼の味方で居続けた。
どんなにつらくても、どんなに悲しくても、そこに味方がいるというのは、有難いこと。
そして味方で居続けていてくれる人のそばで、一つのことに狂えるのも、しあわせなこと。
阿部サダオの演技もさながら、菅野美穂の健気な妻役にも好感。
ここまで泣きポイントをうまく組み込めた脚本にも拍手。
