オレを憎め!オマエなんか大嫌いだ

オレを憎め!オマエなんか大嫌いだ!

白い牛のバラッド

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死刑執行件数が多い国として知られるイランの懲罰的な法制度を背景に描くえん罪サスペンス映画。

イランの厳罰的な法制度を背景に、冤罪による死刑で夫を失ったシングルマザー・ミナの姿を通し、社会の不条理と人間の闇を描いています。

イラン映画であり当国では上映禁止になったとか…。

愛する夫を死刑で失い、ろうあの娘を育てながら必死で生活するシングルマザーのミナ(マリヤム・モガッダム)彼女は監督も務めています※

1年後に突然、夫の無実が明かされ深い悲しみに襲われます。
賠償金よりも判事に謝罪を求める彼女の前に、夫の友人を名乗る男レザ(アリレザ・サニファル)が現れる。
ミナは親切な彼に心を開き、3人は家族のように親密な関係を育んでいくが、実はレザこそが彼女の追い求めていた●●というオチ。

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冤罪によって下された刑罰。

宗教的教義によって独裁的な裁きを下すことのできるお国柄は、神の意志によって正当化される人間の過ちで片付けられてしまう理不尽さ。

それだけでなく、女性にヒジャブの着用を義務づける戒律の厳しいイスラム教の文化では、独身女性が親族以外の男性を家に入れることはタブー。

物語上であるも、見知らぬ男性(この場合はレザ)が彼女の家に訪問するのを目撃した管理人は退去を要請することになる。

ミナは急いで新しい住居を探さなければいけなくなるが、イランでは未亡人や離婚した女性、あるいは独身女性がアパートを借りるのは困難であることに直面することになる。※不動産屋は未亡人を借主として麻薬中毒者と同等の扱いをするため

大家は女性には家賃を払う能力がないと考え、彼女は賃貸住宅の利用が制限されてしまう。
さらに追い打ちをかけるように、義父たちは故人となった子の賠償金目当てに一緒に住むことを望むも、できなければ娘の親権を巡って母親失格だと訴え始める。
因習的な制度が強固に支配する社会のなかでは、夫の存在がなくなれば、妻は借家から追い出され、親権を失う危機にすら晒される。

イヤイヤ…イラン映画アツイです。