ブラックコメディ映画(韓国)に分類できるのでしょうが、事実に半地下に住む家族は存在します。
半地下は北朝鮮との朝鮮戦争に備え防空壕の役割として建築法で義務付けられていましたが、’89年には義務化は解除。
半地下を賃貸として貸し出す家やマンションが増えて、低所得者の住まいとして普及しています。
韓国では10大財閥（サムスン、LG、ヒュンダイ自動車、ロッテ等）が富の大半を獲得してるため、その一族や従業員と、それ以外の人々の貧富の格差は広がる一方です。
教育に熱心で勤勉な国民性ですが、高学歴で努力しても財閥系に関わることができなければ低所得から抜け出すのは難しいようです。なお貧富の差の拡大は、日本を含む先進国でも問題になりつつあります。
本作の主人公キム一家は、運転の上手な父ギテクが就職できなくて、低家賃の半地下に住んでいます。
家族全員が怠惰なのは悪いけど、仕事はきっちりこなすので、あんなに底辺の暮らしになるのは悲しいですね。
受験勉強を教えられる息子のギウ、Photoshopやillustratorなどのデザインセンスあるギジョンが大学に行けなくて、才能を台無しにしたまま成長していきます。
こうして貧困は次の世代にも継承されるので、正直人生の逆転は不可能に思えます。
しかし、これがある一家に寄生（パラサイト）することで生活が変わっていく、そんな過程の作品です。
私個人お気に入りのソン・ガンホが主演する映画はすべて観ています。
この作品も評判通りに良い味を出していましたね。
似たような作品では『万引き家族』『アス』『ジョーカー』などありますが全く違う決着ですので興味深いと思います。
