著者の永守重信はニデック(旧;日本電産)の会長です。
日本の経営者の中でもトップクラスにストイックであり、苛烈な人という印象が自分の中にあります。
著者の信念でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」にも、そのストイックさが現れていると感じます。
今では1兆円を超す売上を生み出すニデックですが、たった4人で立ち上げた時には仕事を取るのすら大変だったそうです。
ニデックはモーター製造の会社ですが、ほとんどの会社からは相手にされず、話を聞いてもらったとしても「無理難題」を押し付けられることが多かったようです。
「モーターの重さを半分にしたうえで、消費電力も半分にできるなら発注してもいいよ」のような難題を突きつけられていたとも。
そんな無理難題に対しても永守氏は、あきらめることなく二つ返事で引き受けて、その無理難題を実現していきました。
とてつもない課題や苦境に立たされた時に、永守氏が仲間と必ずしていたことがあります。
できる‼と繰り返し唱えること。
「できる、できる、できる」と100回以上繰り返していたらしいです。
200回、300回ではその気になれなかったのに、500回を超えるあたりから、なんとなくできるような感覚が湧き始める。
その状態で無理難題に取り掛かると、本当に解決していくことができてしまうんだ…と述懐。
それは「THE・精神論」では?…と好きではない人がいるかもしれませんが、私はこの話に引き込まれました。
なぜかというと、ソフトバンクの孫正義も全く同じようなことを言っていたから。
孫氏の場合は、難しい課題を目の前にしたら「簡単だ!簡単だ!簡単だ!」と唱えてきたし、部下にもそう唱えるように厳しく指示しています。
1兆円規模の会社を1代で、作り上げた日本を代表する経営者がふたりとも、同じようなことを言ってるので間違いないと思っています。
実際、人間には「プライミング」というものがあります。
「このボールはラッキーボールですよ」と、渡されたボールでパターを打つと、成功率が上がるということが研究によって明らかになっています。
脳を信じ込ませることは大事なことです。
「難しい…」「できない…」と思い込んでいたら、脳がそれを本当に信じてしまって、現実もそうなる可能性がとても高くなります。
でも、前述のふたりのように「できる!できる!できる!」「簡単だ!簡単だ!簡単だ!」そう唱え続けていたら、本当に簡単にできてしまうかもしれません。